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脳神経外科

脳神経外科

1.脳血管障害

脳血管障害とは、脳の血管の閉塞(つまり)や、血管の破綻によって起こる病気をいいます。
主な病気は、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血です。いずれも先ほどまで元気であった方が、突然手足の麻痺や意識障害を起こすことがあり、“脳卒中”とも呼ばれています。

● 脳梗塞(のうこうそく)

頭蓋内に入る血管(動脈)は主に4本ありますが、次第に枝分かれして脳の隅々に酸素や栄養を送っています。これらの血管が詰まることで、その領域の脳が部分的に死ぬことを“脳梗塞”と呼びます。詰まる場所によって脳梗塞の部位や広さは変わり、その領域の担当する機能が失われ、いろいろな神経症状を出すことになります。範囲が広ければ脳の浮腫み(むくみ)も強くなり、生命に関わることもあります。
治療は、発症してから治療開始までの時間によって対応が変わってきますが、初期の段階(発症4時間半以内)であれば、血栓を溶かす薬(t-PA製剤)を静脈内投与します。また t-PA製剤で効果が得られない場合でも当院では適切な患者さんを対象に、血管内から血栓回収を行うことができます(この治療法は、海外論文では、80~90%の再開通が得られると報告されています)。 通常の治療法としては、点滴および早期リハビリテーションを組み合わせて行い、内服による予防につなげていきます。このような早期の治療を終了した時点で後遺症に対するリハビリ継続が必要な方には、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟での治療を継続します。

● 脳内出血(のうないしゅっけつ)

“脳内出血”とは、脳内部に入り込む細い血管から出血し、血腫を形成することです。その原因の多くは高血圧に由来し、これを高血圧性脳内血腫と呼びます。2~3cm程度の小さな血腫であれば血圧を下げる内科的治療とリハビリテーションのみですが、4~5cmを越えるような大きな血腫では生命に関わったり、意識障害でリハビリ開始が遅れるため、手術が必要になります。手術では、頭蓋骨を開き、脳組織を極力痛めないようにして血腫を顕微鏡下に除去します。出血源の血管は凝固焼灼します。また血腫の大きさが中間的な場合は、血腫の座標を計算し、親指大の小さな骨の穴から管を通じて血腫を吸い出す手術を行う場合があります(定位的血腫吸引除去術)。その後状態の安定を待って、必要に応じてリハビリテーションを行います。

● くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)

頭痛を来す最も怖い病気のひとつが“くも膜下出血”です。脳の血管の一部に出来た瘤(脳動脈瘤)が、ある日突然破裂して、脳の表面に激しい出血を来す病気です。一般的には「突然、ハンマーで殴られたような経験したことのない痛み」と表現され、重症の場合は病院にたどり着いた時には心停止していることがありますし、最終的には3人に1人の方が亡くなるとされています。治療法は、一度起きた脳動脈瘤破裂に再破裂が起きないよう、手術(開頭動脈瘤クリッピング術、または脳動脈瘤コイル塞栓術)が行われます。その後、引き続いて起きる脳血管攣縮や水頭症の治療に移り、同時にリハビリテーションを進めます。最終的に社会復帰出来る方は3人に1人とされています。

● 未破裂脳動脈瘤(みはれつのうどうみゃくりゅう)

脳動脈瘤は動脈瘤に出来る膨らみ(こぶ)のことです。多くは無症状ですがMRIの普及により偶然見つかることが多くなりました。脳動脈瘤の出来る原因はまだわかっていませんが、生まれつき動脈の壁に弱い部分がある人が、長年の喫煙や高血圧の影響で、弱い動脈の壁が更に脆くなり、膨らんでくると考えられています。この動脈瘤の壁は正常な血管の壁に比べてとても弱く脆いので、突然破裂して、前述の「くも膜下出血」を起こしてしまうことがあります。その確率は(いろいろな報告がありますが)日本人では約1%/年とされています。未破裂脳動脈瘤の治療方針は、
⑴様子観察:定期的に検査を受けて経過を見る。大きくなったり形が変わったら、要検討です。
⑵開頭術:頭の骨を開けて、動脈瘤を顕微鏡下に金属製のクリップをかける方法
⑶血管内治療:血管の中から、カテーテルという細い管を通し、金属製のコイルを動脈瘤内に詰める方法
があります。それぞれ長所・短所がありますが、患者さんの動脈瘤の性状、それぞれの希望に合わせて治療を計画しています。

● 頚部頚動脈狭窄症(けいぶけいどうみゃくきょうさくしょう)

頚動脈狭窄症とは、頚部の頸動脈分岐部に血管狭窄を生じ、これが原因で脳血流の低下を来たしたり、脳梗塞の原因となる疾患です。以前は、欧米人に多い疾患とされてきましたが、日本人の食生活の内容が欧米化するに従い、増加傾向にあります。
治療には、抗血小板薬のみで治療する内科治療と、外科治療として頸動脈内膜剥離術(Carotid endarterectomy :CEA)や頸動脈ステント留置術(Carotid artery stenting :CAS)という血管内治療があります。これらも、それぞれ長所・短所がありますが、患者さんの頸動脈病変の性状、希望に合わせて治療を計画しています。

2.脳腫瘍

脳腫瘍は、脳にある組織が腫瘍化したものと、脳以外の場所から転移し成長したものに分けられます。前者を原発性脳腫瘍と呼び、後者を転移性脳腫瘍と呼びます。人口10万人につき一年間に約10~15人発生するとされます。原発性脳腫瘍の代表は、神経膠腫(神経を支持する細胞が腫瘍化したもの)であり、約30%を占めます。比較的良性のものから、悪性度の高いものまで様々であり、外科的手術と放射線治療、抗がん剤を併せて治療していく必要があるので、当院では集学的治療のできる施設(宮崎大学医学部付属病院など)に紹介しています。その他の原発性脳腫瘍では、下垂体腺腫や髄膜腫、神経鞘腫などがあります。これらは通常発育が遅く良性のものが多く、外科的に全摘出することで治癒が期待できますが、大きさや場所により後遺症を来すことがあり、難易度が様々です。当院で対応困難な場合、やはり大学病院へ紹介しています。

3.脊髄・脊椎疾患

脊髄・脊椎の病気の多くは、加齢に伴う脊椎の変性により出現します。脊髄は脳と手足の間をつなぐ神経の束で、脊柱管という脊椎のトンネルの中を通っています。そのため脊椎が変性してくると脊髄やその枝(神経根)に当たり、様々な症状が出てきます。痛みやしびれといった身体的・精神的な苦痛ばかりでなく、上肢・下肢の運動機能が障害されるため、生活の質が低下してしまいます。
当院では脊髄・脊椎疾患の主な症状である痛みやしびれの原因を外来でMRIなどを用いて評価し、脊髄・脊椎疾患と診断されれば、まずは、内服や固定など外来での治療を開始しますが、良くならない方には手術を検討します。リハビリテーションのスタッフも充実しているため、入院中は術後経過をみるとともに、リハビリテーションしてから退院を目指すことが出来ます。
当院での対象疾患は、
⑴変性疾患(頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症など)
⑵脊椎外傷(転落や事故などによる脊椎骨折)
⑶血管障害(急性硬膜外血種、脊髄血管奇形)
などです。

4. 頭部外傷

頭蓋骨骨折や脳挫傷(脳の怪我)なども治療の対象になりますが、手術対象になりやすい慢性硬膜下血腫について述べます。

● 慢性硬膜下血種

軽微な頭部打撲をきっかけに、脳の表面に微量の出血あるいは脳脊髄液貯留が起き、その反応でつくられる膜から少しずつ出血が繰り返され、硬膜という膜の下の層に血腫が溜まると考えられています。血腫が少量で症状も軽微な場合は、自然吸収を期待して経過観察とすることもありますが、通常は局所麻酔下の手術が行われます。慢性の血腫はさらさらした液状のため、小さな孔から取り除けるので、穿頭血腫除去術が行われます。経過が順調ならば手術直後から症状が改善し、多くは1週間で退院できます。ただし血腫の再発率は約10%とされ再手術が必要になることがあります。

5.その他、対応可能な疾患

当院で対応可能な疾患を挙げます。

● 顔面けいれん

● 三叉神経痛

● 特発性正常圧水頭症

脳脊髄液が溜まって起こる病気です。認知症と似た症状が出ますが、治療で改善出来るので早期発見が肝心です。認知症の他には歩行障害(足が開き歩幅が狭く、すり足で歩く)、尿失禁があります。手術は、頭の中に溜まって吸収出来なくなった髄液をシリコンの管を通して他の場所に流れるようにするシャント術です。

 

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